“HELLO!” dear my friends
遠くて近い我が友よ、お元気ですか?
イタリアのフィレンツェとヴェネツィアへ行ってきました。
取材も兼ねての旅(何の作品かは追々わかるかと)、イタリアはローマ以外は行ったことがなかったので、とても楽しみにガイドブックを眺めていました。
旅の計画、まずは空港から目的の街への行き方を確認します。そして色々な行きたい場所をGoogle Mapに保存、その兼ね合いで便利なホテルを決めるのがいつもの手順です。
自炊できたら気楽かなとキッチン付のホテルを選びましたが、街を歩き回って体力を使い切ってしまい、料理を作る気力がありませんでした。そういえば日本にいる時も、外出の用事がある時は、朝起きた時に食事の用意をして出かけるので、帰宅してから料理を頑張ることはあまりないなと。同じパターンで行動すれば良かったのかもしれません。旅行時の自炊の手順はまだ確立できていないようです。
パソコン机がなかったので、食事用のテーブルで仕事していたら腰が痛くなりました。内装も可愛らしいし、仕事のことは考えずゆっくり滞在して、というコンセプトのホテルなのでしょう。なので、いわゆるビジネスセンター(ホテル内でプリントやコピーが出来たり、自由に使えるパソコンが設置されている場所)というものがないけれども、ホテルの人達はみんなとても感じが良く、お願いしたら譜面もすぐプリントしてくれてとても助かりました。
腰の痛みに耐えきれず、結局MacBookをベッドの上に持って行き、大体そこで作業していました(ベッドの上に散らかる仕事道具を掃除の時に見られるのが恥ずかしく、出かける前は全部テーブルに戻す!)。
歴史、美術、フィレンツェについて追求すべきことはたくさんあれど、今回味わって見たかったのは新潮文庫「ハンニバル / トマス・ハリス」上巻、第二部フィレンツェの雰囲気です。残酷な部分は正直苦手ですが、訪れたことのないフィレンツェの街並みの色合いが、匂いが、感じられるようで、その部分だけ何度も読みたくなってしまうのです。
そして実際行ってみて…何でもっと早く行かなかったのだろうと! 散策をしているだけで、今までフィレンツェが登場する本を読んだ時の温度感が、腑に落ちる気がしました。行って、見て、感じる。その後に読む。自分の体験が増える度に、違う読み方ができるようになるのだから、一生同じ本を違う角度から楽しみ続けることができるのだろうなと思います。
[ご当地読書] こんな本を現地で読みました。
もちろん「ハンニバル/ トマス・ハリス」も再読です。
「フィレンツェ幻書行 / ロバート・ヘレンガ」
「フィレンツェ連続殺人事件 / 島村奈津」
「緋色のヴェネツィア―聖マルコ殺人事件 / 塩野七生」
「銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件 / 塩野七生」
「黄金のローマ―法王庁殺人事件 / 塩野七生」
フィレンツェといえば革製品だということは、行ったことなくても何となく知っていたので、柔らかく軽い小さなバッグ(外ポケット付き)が欲しいなと色々探しました。
友よ、欲しい物がはっきりしている時ほど目当ての物と出会えないと思いませんか? 職人さん直売の店、露店、ブランド店、デパートと何件も見て回り、それでも私の欲しい条件を満たしているものが見つからなかったのです。素敵なデザインはたくさんあったのですが、重さにはどうしても妥協できなくて結局街中では選べないままでした。
最終日、フィレンツェ=ペレトラ空港の搭乗口前にあった店で、乗る直前に見たシルバーのバッグを購入して目的を果たしました。最後の最後に見つかって良かったです。選択肢が少ない方が決めやすいのかもしれません。写真手前に映っている、茶色いトランクとバッグのセットが魅力的で、その時荷物が少なかったら買っていたでしょう。今でも時々思い出すくらいには心残りがありますが、きっと重くてあまり使わないですよね? 我が友にはそうだねと私の決断を肯定してもらいたいところです(そうでないと、なんであの時買わなかったのだろうとずっと悔やんでしまうから)。
買ったバッグは軽くて使いやすく、愛用中です(スカルバッグチャームは友達からのお土産)。
そう、選択肢が多いと、目移りしてしまうのです。
金細工も欲しい物のひとつでした。
以前初めてのイタリア、ローマの街で素敵な金のアクセサリーをたくさん見ました。しかしその時はあまりお金もなく、綺麗だなと眺めるだけで買えませんでした(ボストンバッグで旅をしたあの頃の身軽が懐かしい)。ここはひとつ、あの頃の自分のために買ってみようではないか、と勇んで貴金属店へ向かったものの、とにかくたくさんあるのです。何軒も連なるアクセサリーの店と観光客の多さに、ただでさえ薄い私の生命力は削られまくり、豪奢なデザインに圧倒され、ジェラートを食べてホテルに戻ってきてしまいました。
ピスタチオとミルクのジェラートは、とても濃く、とても美味しかったです。
日向で食べると冷たさが喉の渇きに丁度良い感じ。気温は東京とあまり変わりないようで、服装も同じで行きました。薄いカシミヤのセーター、パーカー、ウールの薄手のコートという装備です(注:寒がりですから)。
そして、フィレンツェで行っておきたい場所「ウフィッツィ美術館」。ここの混雑ぶりはすごかったです。オンラインでチケット予約ができるとのこと、もちろん楽な道を選びます。と言っても、予約だけでチケットは美術館の向かい側のチケットオフィスで発券されるのです。ここが小さくて見過ごしてしまい、何度か往復してやっと気づきました。我が友も行く時は気をつけてください。
ここがチケットオフィスの入り口。
小さいですよね?
やっとひとつ役に立つことが書けた気がします。
作品達はもちろんですが、壁も、天井も、濃いのです。
眺めているうちに、情報量が多すぎて目眩がしてきます。
自由に写真が撮れるのは、嬉しいですよね。
美の共有をありがたく思います。心に焼き付けつつ全作品収録の公認ガイドを買い、美術館のカフェでカプチーノとケーキで休憩。
途中、カフェが混雑してきて入り口に人が並び始め、ゆっくりガイドを眺めているのにも気が引けて早く出た方が良いのではと落ち着かなくなってきた頃、前方に座る家族達がテーブルでトランプを始めました。楽しむことへのなんというマイペースさ。海外へ行くと自分をかなりの小心者だなと思い、小柄だなと思い(身長166cmで日本女性としては高め)、周囲と比べることの無意味さを噛みしめます。旅によって多くの価値観に触れると、他人を傷つけない限り自由に生きて良いという実感が湧きます。
私が好きな立体物に、(勝手に名付けた)勤労動物シリーズというのがあります。主役であってもどこか哀愁を漂わせていたり、ひっそり大事な役割を果たしている生き物へのときめきです。今回もたくさん発見しました。
狭い台座で踏んばり、壁に埋められながら見張り、口を開けっぱなしで喉が渇いていそうな表情で足元の球を押さえ、健気に働いている像。
背後で凄む龍。
みんな一生懸命に働いている(気がする)。なんとも愛おしいではありませんか。
遠くて近い我が友よ、読んでくれてありがとう。
書きたいことはたくさんあるけれど、このままだと終わらない手紙になってしまいそうです。続きは場所も移動して、ベネツィア編を混ぜつつ書いてみます。ひとつの旅で何回手紙を出す気なんだと呆れられないことを祈りつつ、それまでお元気で、ごきげんよう!