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眠りの大使 (AYAKASHI ver.) 楽曲解説
2023.12.30

我が心の音友よ、アルバム「Another mysterious ticket」、そして前回の「風野稀人 (Utakata ver.)」楽曲解説はいかがでしたか?

自分の想いは楽曲の中に全部つまっている(はず)、なのであらためて言葉で表現するのは難しい…楽曲解説を5曲書いてみて実感しました。となると、曲の構成なら書きやすいのかもしれません。前回に引き続きその辺を意識してみますね。

“Ambassador of Sleep (AYAKASHI ver.)” music commentary

6曲目の「眠りの大使 (AYAKASHI ver.)」は、2002年6月20日に発売されたXbox用対戦ロボットアクションゲーム「ファントムクラッシュ」で使用された「眠りの大使」別アレンジバージョン。

この曲で和風のミュージックビデオを作りたいと、映像を前提に西岡正通さんに編曲を進めてもらいました。方向性はモーリス・ラヴェルのバレエ音楽「ボレロ」のイメージで、リズムがないところから音が参加、最後は大爆発でアヴァンギャルドに攻めたいというお願いを。

楽曲の構成は、Intro1-Intro2-Intro2′-Intro2”-1A-1B-1C-Interlude1-2A-2B-2C-Interlude2-D-Outro

珍しい構成ではないのですが、なんといっても1分25秒あるイントロの長さ。アニソンだったらオープニング曲が終わりそうなくらいです。

そして長さの割にコード進行は動きが少なく、1Bで展開した後盛り上がりそうで盛り上げずに元のコードへ戻ります。

この盛り上がりそうだけど盛り上げない進行から、じれったさはInterlude2で爆発、その後Dでオケは盛り上げますが、Outroへ行くメロディーはすっと下げて消える。達成感とは…と考える虚しさが達成感になるようなメロディーとコードの絡み合いで、眠りの大使(という存在)は通り過ぎて行く想定です。

「鏡の名前 – 懐古庭園 Vol.05 -」に収録の「眠りの大使」は、原曲のエレピを生かしながら当時は入れられなかった混声コーラスを組み込み、壮大な世界観へ突入していきます。

「眠りの大使」もですが、懐古庭園シリーズの「水中飛行 – 懐古庭園 Vol.03」辺りから、自分の声以外のコーラスに囲まれる曲が増えます。私には出せないソウルフルな声、パワーがある高音、男声コーラスを取り入れたサウンドが自分の中で流行っていたのです。

ただ「水中飛行」「幻を読む種族」などは、自分コーラスでなければ曲の世界観が変わってしまう。自分の曲に自分の声の必然性を発見できた時、もう自分の声があまり好きではないと言うのは己に失礼だと思いました。私に割り当てられたこの声を大事に歌いたくなったのです。

時々は退行して「ああもっとパワフルでソウルフルな声であったら」と感じることもあるけれど、昔より自分の声が嫌いではないです。

我が心の音友よ、最後は曲解説というより声についての想いを書いてしまいました。「眠りの大使」2バージョン共、ぜひ編曲をじっくり聴いて色々な飛びかう音と声を楽しんで頂けたら嬉しいです。次は7曲目の「砂海パラソル (Wandering ver.)」 について書きますね。

では、また!