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The Last Day 楽曲解説
2024.12.16

我が心の音友よ、「The Last Day」はいかがでしたか?

楽曲解説を書いている昨今、どう作っているのかお届けしますね。

「The Last Day」の編曲は大野瑞稀さん。

今年の6月に配信開始した「Deep blue drops」では、大野君の編曲ありきで作詞作曲しました。特定のギターサウンド前提の制作過程が自分では面白く感じ、さらに違う雰囲気の曲でも試してみたいと思い新曲を書きました。

違う雰囲気とは…と考えた時に、シャッフルはどうだろうと。大野君とシャッフルが結びつかないので、どうなるのか聴いてみたい。そして「Deep blue drops」と対になるような作り方をしてみたい。「Deep blue drops」が3連符のメロディーで始まったので、逆に8分音符から始まり3連符へなだれ込む冒頭に、サビはゆったりメロディーから、フレーズを繰り返して全く違うメロディーを重ねていく曲にしよう。

シャッフルとはどういうリズムか、私の曲で言うと「針の実」のIntro2からがそうですね(1999年発売の曲久しぶりに聞いたらIntroが3回も展開してし転調まみれ…人は変わらない!)。

きっかけは決まったので曲のゴールについて。
全体は、歌とギターを清濁という対比にする。弱くて強い、甘くて苦いという矛盾サウンドを作る。

メロディーで表現したいことは「古のロックを再現するふりをして、どんどん様子がおかしくなり我が道を行くけど、やっぱりロックだよ?」。

コード的には「C7→CMajor7にいつの間にか変わっていた、でも気持ち良いよね!」

以上を「The Last Day」で目指しました。

曲の構成は
OC-1A-1B-1C-1D-Interlude1-Interlude2-E-F-3D-3D’

繰り返しのようなふりをしていますが、実際は全く同じ箇所はなく、全部1度ずつしか登場しません。

まず1A譜面の緑色部分は、ロックでよく聞くようなメロディーなのに、コード感が変。さらに転調させて同じ符割のメロディーを続けます(コードは私が作曲した時のものなので、大野君が編曲後は変わっている部分もあります)。

妙な雰囲気になってきたと思ったところで、Cベース(ドミソ)のコードで解放感を出し、解放感最高潮とするために突然上へとメロディーを飛ばします。

なにこれ?と異常を察したところで、またロック常套なメロディー引き戻します。

その後は転調して、ここから私好みの破滅への道を描く、と。

1C, 1Dのいわゆるサビで、よくあるC7のロックなメロディーと進行に戻り、主旋律を2本に増やしました。ここで安心させておいてからの激しい間奏へ。

間奏は、大野君の世界観。
大野君のデモに入っていた “The Last Day” “Haa” と声を入れたのですが、この時セリフというより叫ぶような…ということ、そのニュアンスが全くつかめず、やろうとしたら声が枯れてきたので中止。出せる声で録音。一体どういう感じだろうと思っていたら、後日謎が解けました。

なるほど…でもこれは…たぶん現世では出ない。

大野君の嗜好があふれ出る間奏、自分の発想にはないのでとても面白く感じます。その先の構成Eで、すっと落とした後に構成Fでやっとシャッフルが登場。そう、元のデモは全編がこのリズムでした。ここまでシャッフルを無視できるメンタル強い。

そして最後の3D-3D’(表記的には2D-2D’とするのが順番だろうと思いつつ、気分的には3D-3D’なのです)、大好きなCmaj7(ドミソシ)で2本のメロディーを重ね(コードのEとメロディーのFの音が当たると危ういところですが、部分的にコードsus4という解釈で強行)、「みんな消える」という言葉でCmaj7のまま締めくくり。自分的に気持ち良い終わり方。素敵。

以上を踏まえて、構成の移り変わりを感じながら聴いてみてくださいませ。

大野君の編曲に探究心が疼くので、また違う角度から作品作りをしてみたいと、次曲の作曲を進めています。どう応えてくれるのか楽しみ。

ミックスは西岡正通さん。
透明感と深さが加わり、編曲からさらに広がりました。

毎回この過程には新鮮な感動があります。
作曲時に頭の中で描いていた音像の、さらに進化形が目の前に現れる。人生で私にとっての喜びは、ここに集約しているのではとすら。西岡君との作業は常に解釈が興味深く、次への活力となっています。

音の世界は常に探求と追求。こういう構成の曲が聴きたい!でも無いから作る!!を、まだまだ続けたいです。

気に入っている歌詞は「不凍解氷釈」。不を付けて、凍解氷釈しないよという意味にしてみました。

撮影やレコーディングの様子をショート動画にまとめてみたので、よかったらどうぞ!

我が心の音友よ、レコーディングの写真と共にお届けした楽曲解説はこれで終わりです。

次作「ヒトリスキスギ」は2024年12月21日配信開始、ぜひ聴いてくださいね。
では、また!