遠くて近い我が友よ、お元気ですか?
あっという間の一年の終わり…どんな年でしたか? 自分の2024年を振り返ってみました。
現在の私は、やっと作家からシンガーソングライターとしての日常に重きをおくことに慣れてきました。
自分の楽曲を作るのが楽しく、探究は面白く、その過程で自分の内面と向き合うことは驚くほど厳しい作業だなと思います。
でもこれが私の作り方なので仕方ありません。とにかく自分の感情を掘り下げる、心の奥底を見つめ自分の本質(つまり自分の無様)から目を逸らさず、湧きあがる感情を観察する。こんなに大人になった今も不都合からは目を逸らしたいし、理想と遠い己は受けいれがたい私にとってはとても難しいことです。
ただ作っていくうちに、不意にそんな気持ちからも自由になれる瞬間が訪れます。あたかも無敵のように曲作りに集中する時の喜びは、何物にも代えらえない。これを繰り返して世を去っていけたら本望です。
今年の作品を振り返ってみますね。
時を経て生まれ変わるゲーム主題歌をお届けする懐古庭園シリーズ「迷える恋羊 – 懐古庭園 Vol.09 -」は来年Vol.10がゴール。やっとここまで辿り着きました。
収録曲の「瓶の天使は僕のもの」MV公開。
5月はシングル「Deep blue drops」。
8月は「無欲のつもりで」。
10月は「The Last Day」。
そして12月は「ヒトリスキスギ」配信と、この1年は5タイトル9曲発表することができました。
来年に向けての録音も順調に進行中。懐古庭園シリーズはいよいよ最終作となります。
アレンジャー、サウンドエンジニアとして関わって頂いてる西岡正通さんとは、今年も新たな挑戦ができてますます楽曲制作が楽しくなっています。作曲方法や歌い方も少しずつ変えてみると発見があり、これで満足ということはありません。
この曲を受けとった西岡君がどう世界を広げてくれるのだろうと想像しながら、メロディーを、フレーズを、コードを重ねていく時の冒険感。練習や研究はとても地味で時間がかかるけれど、その作業の重なりの先を目指して日々続けるしかないし、その先にはまた新たな発見が待っています。
さらに今年は、大野瑞稀さんの編曲前提で新曲2曲書きました。自分の声と大野君のオケの対比が興味深く、一体どこまで融合できるのだろうという実験気分が盛り上がり、新曲も制作中です。
大野君の映像制作技術の向上めざましく、個人でここまでできるのかと感動します。映像までを考えながら曲を作るのも、また楽しみのひとつだなと。
もしシンガーソングライターの畑亜貴をご存知ない方には、Spotify「#歌う畑亜貴 ハジメの一歩!プレイリスト」、曲の解説付きなので良かったらどうぞ!YouTubeや各配信でもぜひ。
と、私自身の活動についてまず書きましたが、職業作家としては2024年もご依頼いただけたこと、色々な作品と出会えたことには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
Q-MHz(畑亜貴, 田代智一, 黒須克彦, 田淵智也) としても、様々なご依頼をいただきありがたい限り。スケジュールの調整がパズルのようですが、引き続き頑張りたいところ(ご依頼は公式サイトからどうぞ )。久しぶりに4人が集ったアニソン派ラジオ31回も聴いてみてくださいね。
サンキュータツオさんとの探究ラジオ「感情言語化研究所」として続けています。YouTube、Podcast、noteで配信中。タッちゃんは漫才師でもあり東北芸術工科大学の講師でもあるので、山形と東京をいったりきたりとても忙しそう。このラジオを続けてくれてることにいつも感謝しています。
気になって仕方ないけど、誰と話したらいいのだろうということを受けとめてくれるタッちゃん。そしておたよりも、私が胸に抱えていたもやもやであることが多くて、こういう接点が持てる場所は貴重。
おたよりで曲の感想をいただくと、私の好きな音を楽しんでもらっているという実感に小躍りします(なかなかそういう場面はないので)。番組を短くしたので、全文をご紹介できないことも多くなってしまいましたが、しっかり楽しく読んでます、いつもありがとうございますとこの場にてお礼をば。
自分の活動でも仕事でも、良い作品作りができたと思えるのは幸せなこと。
ただ稀に、誠意も敬意も感じられない依頼があるのも現実で、そのことに関して悩まされた年でもありました。
商業的な創作にも純粋な気持ちで向き合い、最高の作品を作りたいというのは、私個人が持つ理想でしかない。そう思い知らされるのは情けなく寂しいことで、仕事を始めて34年経っても未だに慣れません。
これまで心血注ぎ頑張ってきたつもりでしたが、プロジェクトの都合で歌詞を書くパーツでしかないのだな思わされるぞんざいな扱いを受けると、全てを放り出して失踪したい気持ちにすらなりました。誕生日にも書きましたが、真摯に作品と向かい合いたい気持ちを踏みにじられるのは本当に悲しい。
ただ稀に、なのです。
逆に、自分が受けた感動を世に何かしらの形でお返ししたい、一緒に音楽を作りたいと大きな情熱を持って制作に向かい合ってくださる方々がいることには、本当に救われています。私の心身がいつまで頑張れるかわかりませんが、誠心誠意応えたい。その想いに負けない熱量で向きあいたいと思っています。
そして最近(そう、ここ2年くらい)の私には、どんな方法を試しても硬直状態な悩みがありました。自分の努力ではもうどうにもならないと悶々としていたところ、意外な角度から悩みに風穴が空き、そこを変えても良かったのかという驚きに直面。よく考えてみたら変えられないというのは自分の思い込み、思考停止していたのだなあと猛省。
今を生きるには、どんなに続いてきたことでも見直す必要があり、その都度調整が必要。それを怠った故の悩みでもあったのです。
思考停止すると綻びを見逃す。物事への対応、人との関係性、全て今に焦点を当てて先へ向かいたい。今どう考えているのか、どうしたいのか、そのために何ができるのか。
その過程で、人との関わりの中に生まれる軋轢を避けることはできないのも、身に染みて感じました。後ろ足で砂をかけられるとは、まさにこのことだなというできごともありましたが、人の生き方はそれぞれ。私は私の道で精進を重ねていこう、至らない人間のままですが晩節を汚さず生きていきたいと心から思いました。
今を見つめて、今を生きるしかない。
結局想いはここに戻ります。
心豊かに身辺静かに、勉学に少々励み、旅の空を見ながら暮らしたい。無理をし過ぎず、でも少し無理をした先の景色も見たい。
探究心と行動の中で人生の試練は一生続くということですね、きっと。
音楽はもちろん、私の主な趣味である読書と旅も大いに楽しみました(読書についてはまた別の機会にでも)。
新年を台湾の高雄で迎え、その後は台湾台北、台湾台南、沖縄×2、松山、台湾台北、米沢、山形、函館、台湾高雄、名古屋×2、札幌、台湾高雄、秋田、青森、函館。台湾への旅が多かったです。コロナ禍後の海外旅行リハビリとして、今年は旅の数ではなく1回の滞在日程を増やし、現地での暮らしにとけこめる旅を心がけました。日本脱出に慣れてきたので、これで来年は遠くへ旅立てそうです。
我が友の今年はいかがでしたか? 幸せな日々であるよう願っています。
近くて遠い我が友よ、初めて出会ったこれからの友よ、長い長い手紙のようなものを読んでくれてありがとう。
私と私の音楽に縁を感じてくださったら嬉しいです。よいお年を!