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鬼の時守 楽曲解説
2025.05.18

我が心の音友よ、童謡アルバム「さようなら海星」楽曲解説3曲目は、「鬼の時守 (Kodama ver.)」です。

「鬼の時守」の初出は1999年10月27日、「Ten Plants2」。FINAL FANTASYシリーズ等でご活躍の作曲家の植松伸夫さん企画アルバム、(この頃はまだゲームの作曲が多かった)私にもお声掛けいただきました。

その後、私のベストアルバム「浪漫月裸の娘達 ~BEST SONGS ~」に収録、その後さらに新録して「君の目の王国 – 懐古庭園 Vol.06 –」にも入れました。童謡として作った曲なので今回のアルバムにも追加したいと思いつつ、切り口は変えようと。

元曲の構成が以下で、
Intro1-Intro2-1A-1B-Bridge-2A-2B-Interlude1-Interlude2-3A-3B-C-C’

Kodama ver.の構成は歌から入って最後のCに飛びます。
1A-1B-C-C’

1行目「山の和尚さんが」の「お」は、「ひるまのゆうれい 楽曲解説」で書いた、声の跳ね上げを思いっきり使い、加えて私が「割れ」と呼んでいる歌い方も入れています。

力を抜かず声割れに近い状態に持っていき、高い方へ跳ね上げる。メロディーや歌詞を強調する効果があるけれど、跳ね上げよりさらに癖強になるので多用は難しい。この場合はメロディーの流れを一度断ち切って、高音の印象を強める効果を出すために使っています。

1A「山の和尚さんが」と、1B「鬼が出る出る」はメロディーが同じなのですが、この跳ね上げ+割れを入れることで、違った印象を演出することができます。

編曲は西岡正通さん、そして和楽器部分は絃竹の杉浦充さん、佃康史さん。

絃竹の杉浦さんと佃さんとの出会いは、アニソンを和楽器で演奏している方々がいるということでライブを見に行ったことがきっかけでした。伝統的でありながら好きな楽曲を追求する自由さに衝撃を受け、「尺八が宇宙戦艦のようだ」というアルバムをプロデュースしました。

和楽器部分と西岡君の編曲が合わさった「鬼の時守」を、アルバム用としてKodama ver.へと変化させる…何度も楽曲と出会い直す面白さがあり、自分にとって楽しい探究でした。

縁の下の力持ち的だけど私が気に入っている「トントントン…トン…」という(密かに動悸と呼んでます)太鼓のような音、所々にいるので聴いてみてください。ちょっと不安になるようなこのリズムが様々なギターサウンドと重なる部分に高まります。

西岡君のドヤらない音を心地良く聴き、後からフレーズひとつずつに注目していくという聴き方でずっと楽しめます。

私も西岡君も、それぞれのサウンドの探求者だと思うのです。お互いの道が時々曲を介して交差して、ひとつの世界を作り上げる。人生に音楽があってよかった、と曲が完成するたびに思います。

「鬼の時守 (Kodama ver.)」楽曲と共に、映像&イラストロケの模様もよかったらどうぞ!

我が心の音友よ、レコーディングの写真と共にお届けした楽曲解説、いかがでしたか?

次回は「消えた星の子守唄」について書きますね。では、また!