Blog
ヒトリスキスギ 楽曲解説
2025.09.12

我が心の音友よ、「ヒトリスキスギ」はいかがでしたか?

遅れ馳せながらですが、楽曲解説をお届けします。

この曲は私の中で、人生論楽曲カテゴリに入っています。他にどういう曲があるかというと、

「The Last Day」の「わからないよなんで 僕ら生きてるんだろう?」

「砂海パラソル」の「痛みは日々心を濡らす、私が私である限り」

「蜿蜒 on and on and」の「去ったら星になる? 灰になって消えるだけさ」

「TaTa-LaLa」の「つらい日々しかないのさ 生きるってそんなものさ」

「毀レ世カイ終ワレ」の「私以上の孤独はこの世にないって解った」

「永遠無惨」の「生まれ死んでく僕ら 輝きは失せて無駄に消える」

「世界なんて終わりなさい」の「寂しい貴方に悲しい私 世界なんて終わりなさい」などです。私が人生について考えていることが色濃く出ているこれらの曲は、作るのに時間と気力がかなり必要で量産はできません。

「ヒトリスキスギ」は、当初「Another mysterious ticket」の1曲目にする予定で作っていましたが、他の曲とのバランスを考えると重い。これはシングルだなと。

ひとりが大好きで邪魔されたくないというテーマで、激しい部分と静かな部分の対比を作り物語性があるサウンドにしたい。これを編曲の西岡正通さんにどう伝えようか考えて思いついたのが、私が好きなチュニジアのメタルバンドMyrathです。

このストリングスが面白いので雰囲気を取り入れつつ、デジタルなサウンド寄りにしたいというお願いしました。

曲の構成は
OA’-1A-1A’-Interlude1-1B-1C-Interlude2-2A-2A’-2B-2C-D

作曲で苦労したのは、2Bから2Cの繋ぎ。1Bから1Cとはコードとメロディーが変わっています。どうしてもコードを変えたかったので、それに合うメロディーをと考えていたら、その2小節に丸1日かかってしまいました。

間奏のシンセサイザーが気に入ってるので、そのまま残してもらいつつの編曲、西岡君の歪みギターが気持ち良く絡んでまさに望んだサウンドの方向性。

表現したい音を伝えて、それをゴールに導いてくれる西岡君の守備範囲の広さ、懐の深さにいつも助けられています。

私は音楽をジャンルで好むというよりも、曲単位での好きが重なっていきます。どんなジャンルにもお気に入りの曲があって、ひとつのカテゴリを聴き続けることはありません。雑食というと言葉が可愛くありませんが、その時の気持ちで音楽を聴きたいと思うのです。

となると、作る時も同じです。
その時作りたい曲を作るので、カテゴライズしにくい曲やアルバムができあがります。

食事にも似ている気がします。
それぞれの土地の料理が好き、なんでも美味しいものを食べてみたい作ってみたい。

そんな心のままに作る曲を西岡君に委ねて、見たい景色をつたえる時、今回はどうやってゴールに連れて行ってくれるのだろうと毎回楽しみでしかたありません。

メロディーが難しいので歌い方をかなり試行錯誤しました。そしてたどり着いたのが癖をなるべく抑えての歌唱です。

当初は新たな癖強への道を探っていたのですが、どうも落ち着かない。伝えたいことが上手く歌に乗っていない気がする。これで2ヶ月くらい悩んでいました。

そんな時ふと思い出したのが、歌手の八代亜紀さんのエピソード。うろ覚えですが、歌に自分の感情を乗せない(聴き手の感情を乗せる余地を残す)という内容だったと思います。演歌というジャンルに感情まみれで歌うような先入観があったので、印象に残ったのでしょう。

悩みの答えはここにあるのかもしれない。感情の表現ではなく、メロディーを丁寧に作曲した通りに歌うことに集中してみようと練習を始めました。

この解釈が最適なのかはわかりません。ただ、この時の自分にはしっくりきたのです。

ここから私の癖抜きへの旅が始まりました。
これを書いている今は「MINERVA ROAD – 懐古庭園 Vol.10 -」配信後なので、後日へ一気に話は飛びますが、癖抜き歌唱のピークは「憶えていた溜息」だと思います(この後はまた違う探究に進む…)。

歌い方を研究して、何が伝えたいのかというとヒトリスキスギを伝えたいのですが、それが本心からであると伝えたかったのです。

一人が好きだと言うと、「本当は寂しいくせに」とか「年取ったら寂しいよ」とか返されるのには、心底うんざり。そもそも誰かと一緒にいたら寂しさがなくなるとも思いません。全くわかり合えない人といても、ますます寂しく虚しくなるでしょう。

「自分の本心」という言葉を同じメロディーでひたすら繰り返す。そしてコーラスは低い音で呪文または独り言のように繰り返す。ここまで言えば伝わるだろうという勢いです。

悩んで練習して、レコーディング当日。その近辺ずっと体調が良くない状態が続き自信がないまま臨みました。

特に心配だったのは、長く伸ばしたいと練習していた箇所です。作曲時3小節伸ばすつもりだったのを歌録りでは4小節伸ばしたい。体力がいる曲なのでとても不安。

結果なんとか歌えて、ああこれで自分が今一番伝えたかったことを形にすることができる…と心底ほっとしました。

撮影やレコーディングの様子をショート動画にまとめてみたので、よかったらどうぞ!

我が心の音友よ、「さようなら海星」が先になり、大変遅れ馳せながらになってしまった楽曲解説はこれで終わりです。

次は「MINERVA ROAD – 懐古庭園 Vol.10 -」について書きますね。

新作は、NINTENDO SWITCHゲーム 悠久幻想曲リバイバルOP主題歌「Romantic Journey」、ゲームの発売に合わせた配信開始になる予定ですので、続報をお待ちくださいませ。

では、また!