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Matsumoto Castle
2023.01.30

遠くて近い我が友よ、お元気ですか?
特急あずさで長野県の松本城へ行ってきました。

松本城といえば国宝。その美しさを満喫するために、ぜひ桜か雪の季節に訪れてみたいと思っていました。

そんな時、光と氷の城下町フェスティバルの存在を知り、大阪のスクールアイドルミュージカルの後に行けるのではと日程を組みました。

名古屋から松本へ特急しなので行きたかったのですが、雪で立ち往生の不安があり、一度東京に戻ってから出直したのです。新宿駅から松本駅までの様子は前回書きましたね。

松本城は現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝とのこと、

古い木の香りを感じながら眺めていると、ありがたいなあという気持ちが湧きあがります。

ありがたいで思い出すのは、「春情蛸の足 / 田辺聖子」の「薄情くじら」という短編。食べ物にちなんだ話が大好きな私は、この本に出てくる、汁が茶色くないうどんや割り下で煮ないすきやきで、当時まだ行ったことがなかった関西への憧れを抱きました。

「薄情くじら」では45歳のおじさん、木津が「もったいない、ありがたい」を言うようになってしまった…と始まります。その言葉に対して、“いかにも時代錯誤の、因循姑息な、古めかしい精神主義の、陳腐なセリフ”と思っていたのに、という箇所が何度読んでも面白く、因循姑息って表現は素敵だなあ(意味は素敵じゃないけど)と感じていたのです。

いつのまにかおじさんの木津が年下になっていたことに驚きつつ、私もそういえば最近ありがたいって言うようになったなと。特に城や古い建物に、まだその姿を見せてくれるなんてありがたいと心の中で呟いています。

これが実際声に出るようになったら、高齢者の門をくぐった証? まだ喉から上へは達していませんが時間の問題のような。

ありがたいと思いながら声には出さずに眺める、うっすらと雪をかぶった庭園も美しく、

晴天に恵まれて良かったと気分良く写真を撮ります。

雪用にしているショートブーツを履いて行ったのですが、意外と街中は雪がなく、防水で滑りにくい靴でも良かったかなと思いました。

程良い人出で、焦らず見学できました。

目当ての氷像達、制作過程が見られたのは嬉しかったです。

龍を眺めていたら、城が覗ける位置があると教えてくださった親切な方が。なんともありがたい(あ、またありがたいが出た…)。

一晩であっという間に現れた制作の速さに感動しました。

古典的な像が多いのかと思いきや(龍とか馬とか)、恐竜や

蛸と城とのコラボレーションもあり、

デザインから制作までどれくらいの時間をかけているのだろうかと、その過程が気になりました。溶けてなくなる氷の像、瞬間の美しさを伝えるにはあまりにも的確な素材をデザインする時の気持ちは一体どういうものなのだろうと、想像するのもまた楽し。

売店では懐かしい柄の羽子板を発見。子供の頃こんな感じのを持っていた気がします。

そんな松本城見学の動画を編集したので、見てくださいね。

そして夜の松本城。この運びこまれた氷が上の写真の彫像になったのです。

岡山城の時も感じました…城が照らされるの大好き!

夜間はとても寒く、かなりの厚着+時々カイロを握りながら写真や動画を撮りました。

水面を眺めているとファンタジーかSFか、物語の世界にいるみたいです。

可愛いような禍々しいような、

神々しいような不吉なような、

解釈の振り幅が大きいこの風景に夢中です。

だんだん激しくなる雪の中、途中で撮影はあきらめてひたすら見入ってしまいました。

と言う訳で、夜の美しい松本城ショート動画もどうぞ。Instagramでも見られます。国宝松本城氷彫フェスティバル2023、行って良かった!

近くて遠い我が友よ、読んでくれてありがとう。

カイロを握るために外した手袋を片方落としてしまい、慌てて歩いた場所を探した写真でお別れです。

また書きますね、それまでお元気で。
ごきげんよう!